ソニーのステレオラジカセ・AC/DCコンポ


写真はソニーのラジカセのカタログから(昭和56年10月)

ソニーのステレオラジカセはジルバップ、ドデカホーンなどヒットして続いたシリーズがある一方、それほど続かなかったシリーズもある。
その一つがAC/DCコンポ。
コンポを名乗るだけあって、大きく、重く、値段も高かった。

AC/DCコンポは全部で3機種。
とはいえ途中で名称変更があり、3機種が同時にAC/DCコンポを名乗ったことはない。
また、AC/DCコンポをブランド名というよりは、ラジカセの言い換えみたいに使っている場合もある。

3機種は以下の通り。

CFS-F40
CFS-88
CFS-F70

この中のCFS-88がエナジースリーランと名称変更になり、AC/DCコンポはF40とF70が担った。

AC/DCコンポ


写真はソニーのラジカセのカタログから(昭和56年5月)

CFS-88
79,800円。

登場時にAC/DCコンポを名乗っていた。この機種こそがAC/DCコンポの初号機なのだ。
それがなぜか途中からエナジースリーランとなった。デザイン的にはエナジーシリーズとは共通点はなさそうなのだが。

初登場時のカタログではAC/DCコンポのみの表記。昭和56年10月のラジカセのカタログではAC/DCコンポとエナジースリーランが併記された。

写真はソニーのカタログから(昭和56年7月)


単独のカタログでも表紙にはエナジースリーラン、中のページではAC/DCコンポの表記。ラジカセのカタログ昭和56年11月からはエナジースリーランの単独表記となる。

スピーカー部分が折りたためるのがデザイン上の特徴。本体から分離させることもできる。コンポっぽいからAC/DCコンポと名付けられたのだろう。F70とF40は従来通りの一体型でスピーカーは分離できない。

ステレオラジカセとしては珍しく短波が聴けた。ちょっと前にBCLブームがあったので、その買い替え需要あたりも狙ったのだろうか。
操作スイッチはすべて本体の前面にある。

Zガンダムに出てきたエマ・シーンがティターンズからエゥーゴへ、レコア・ロンドがエゥーゴからティターンズへ行ったが、88はエマか、レコアか。

■下記はカタログから引用。
大きさ:本体/幅460×高さ253.5×奥行127mm、スピーカー部/幅230×高さ253.5×奥行127mm
重さ:10kg
スピーカー:20cmウファー、5cmツィーターの2ウェイ×2
実用最大出力:総合12W(6W+6W EIAJ/DC)
周波数特性:ノーマル60〜10,000Hz メタル60〜13,000Hz

AC/DCコンポF40

写真はソニーのカタログから(昭和56年3月)


CFS-F40
99,800円。

発売時期はAC/DCコンポの3機種中一番早かった。
早かったが、登場時にはAC/DCコンポを名乗らずエナジーQ'be(キューブ)を名乗っていた。エナジーシリーズの一員だったのだ。途中からAC/DCコンポ F40となる。

登場した時の価格は99,800円。ラジカセに10万円とはかなりな高額の部類だ。
重さも12.5kgとヘビー級。
メタルテープの録再可能、ドルビーNRもある。スピーカーは4つもあるしパワーは28Wだ。

■下記はカタログから引用。
大きさ:幅460×高さ267×奥行161mm
重さ:12.5kg
スピーカー:10cm×4
実用最大出力:総合28W(14W+14W EIAJ/DC)
周波数特性:ノーマル30〜14,000Hz メタル30〜16,000Hz

AC/DCコンポF70

写真はソニーのラジカセのカタログから(昭和56年10月)

CFS-F70
128,000円。

まずはこの値段。
128,000円とかなり高額だ。
それまでのソニーのラジカセ最高額はAC/DCコンポ F40の99,800円。それを軽く超え桁が変わった。
CFS-88がエナジースリーランとしてAC/DCコンポシリーズを抜け、AC/DCコンポは新登場したこのF70とF40の2機種のラインナップとなった。

2機種を比べてみる。

F40:幅460×高さ267×奥行161mm 重さ12.5kg
F70:幅476×高さ153×奥行180mm 重さ9.2kg

サイズを見ると、F40の上半分を切り取ったような形がF70だった。

スピーカーはF40が4つあるのに対してF70は2個。
総合出力もF40は28ワット、F70は13ワットしかない。
F70が最上位機種なら、F40よりもサイズが大きくスピーカーも同じか多くなってもおかしくないと思う。
それがそうならなかったのは、当時のソニーの公式、小型化イコール高性能化を具現化したかったからだろうか。

PLLシンセサイザーチューナーと称し12曲プリセットできるラジオと、針ではないLEDのレベルメーターだけが、F40よりも優れていると思えた。
カタログを見る限り、最上位機種の割にはイマイチだなあと思っていた。

そんなある日、F70の実物が電気屋に入荷していた。
これがまたカッコイイ。
文句なしにカッコイイ。
カタログの写真では奥行きがあまりあるように写ってないが、実物だと奥行きは意外とあってカセットデッキみたいに見える。
針ではないレベルメーターは、0を越えると赤くなってカッコイイ。
2年前に買ってもらったSirスリーの時よりも欲しいと思ったのだった。

だが、高い。128,000円だ。この値段ならラジカセではなく、普通にコンポを買うんではないか?なのでラジカセを名乗らず、AC/DCコンポにしたのか。

それが、いつの間にか特価69,800円とチラシに載るようになった。普通は半年なり一年でかなり安くなるが、F70はやはり値段設定が高すぎてまったく売れなかったののだろうか。発売後3ヶ月ぐらい経過しただけで一気に安くなってしまった。半額に近い。格下のF40や88よりも安いのだ。発売当初に買った人は悔しがっただろう。

私は2年前にサースリーを買ってもらったが、安くなったタイミングでこのAC/DCコンポF70を買ってもらったのだ。こんなに嬉しいことはない。

昭和57年6月のカタログでは、「品薄機種のため、在庫のない場合はご容赦ください」となった。1年程度はカタログに載り続ける機種が多い中、半年程度のかなり短い製品寿命だった。
ソニーのラジカセとしては最高金額、そして最短の製品寿命だと思う。

■下記は取扱説明書から引用。
大きさ:幅476×高さ153×奥行180mm
重さ:9.2kg
スピーカー:10cm×2
実用最大出力:総合13W(6.5W+6.5W EIAJ/DC)
周波数範囲:ノーマル30〜14,000Hz メタル30〜16,000Hz

最後に

この頃からラジカセの巨大化ブームは去ったのだろう。
巨大なラジカセを買う層は小型コンポを買い、ラジカセの人気は小型ラジカセに移っていったのか。


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